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  1. 京都府議会 1996-12-01
    平成8年12月定例会(第3号)  本文


    取得元: 京都府議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    トップページ 検索結果一覧 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成8年12月定例会(第3号)  本文 1996-12-06 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 17 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長小林弘明君) 選択 2 :  ◯議長小林弘明君) 選択 3 :  ◯松尾忠昌選択 4 :  ◯議長小林弘明君) 選択 5 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 6 :  ◯議長小林弘明君) 選択 7 :  ◯山脇闊君 選択 8 :  ◯議長小林弘明君) 選択 9 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 10 :  ◯議長小林弘明君) 選択 11 :  ◯議長小林弘明君) 選択 12 :  ◯林田洋選択 13 :  ◯議長小林弘明君) 選択 14 :  ◯知事荒巻禎一君) 選択 15 :  ◯議長小林弘明君) 選択 16 :  ◯教育長安原道夫君) 選択 17 :  ◯議長小林弘明君) ↑ ページの先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1: ◯議長小林弘明君) これより本日の会議を開きます。         ─────────────────── 2: ◯議長小林弘明君) 日程に入ります。日程第1、一般質問を行います。  まず、松尾忠昌君に発言を許します。松尾忠昌君。    〔松尾忠昌君登壇〕(拍手) 3: ◯松尾忠昌君 公明・新進党の松尾忠昌でございます。私は、会派を代表し、さきに通告いたしております諸事項について、知事並びに関係理事者質問をいたします。  質問の第1は、文化・芸術の振興についてであります。  経済一辺倒で来た戦後の日本社会に対し、今その反省に立ち、文化時代を築くことの重要性を強調するものであります。したがって、政治を初め行政経済など日本社会構造的枠組み変革を求めるとともに、その基底部に「人間原点から見詰め直す」という作業重要性が認識されなければなりません。なぜなら、こうした作業がない限り、大きな変革は望めないからであります。  それでは、人間原点とは何か。私は、人間原点とは「心」であり「文化」であると申し上げたいのであります。ところが、今日までの我が国の文化行政による文化のありようは、週休2日制の定着と所得水準の向上による余暇文化余剰としての文化ではなかったでしょうか。したがって、バブル経済が崩壊すると「文化どころではない」という空気が支配するようになってきたのであります。  本来、文化とは、人間的な共感をベースにした社会をつくるための最も重要な要素であるはずであります。しかしながら、バブル崩壊による文化行政の後退は、経済的側面からのニーズに発した文化というものがいかにもろいかを露呈しました。余暇余剰文化行政であるがゆえに、当然、余裕がなくなれば削られてしまうことになります。そのような虚構の上に立つ文化国家を目指しても意味はないと思います。  かつて演劇ブームと言われた時代、多くの観客が劇場に押し寄せましたが、人間的な共感の場とはなり得ず、結局、観客一人一人は孤立したままでありました。すなわち、共感ツール、道具としての文化が機能を果たしていなかったわけであります。こうした現状をよくあらわした世論調査があります。  これは3年前に朝日新聞社が行ったものですが、「日本人が手に入れたものは何か」という設問に、多くの人が「遊び」と「豊かさ」を挙げました。逆に「失ったものは何か」との答えは「ふれあい」「夢」「ゆとり」が多数を占めました。遊びを手に入れながらふれあいがない、豊かさを実現しながらゆとりと夢を失ってしまうとは何と皮肉なことでしょうか。日本人が手に入れた豊かさは、経済に裏打ちされたものであって、人間的な豊かさではない、遊びにしても金で手に入れるような自分の参加意識が薄い遊びであり、ふれあいや出会いを生むものではなかったのであります。  もう一つ、総理府が先月発表しました「国民生活に関する世論調査」によりますと、今後の生活の重点は「心の豊かさ」と答えた人が58.8%と過去最高を記録し、「物の豊かさ」に重点を置く人は27.9%で、その差30.9ポイントと過去最大の開きとなっています。物質面より精神的な充足感を得たいという意識が高まっているとの分析がなされています。  以上の点から、私はこれからの文化行政は「共感と参加」という視点を欠落させてはならないと思います。人が人を支え合う、そこに文化が生まれるのであります。  ところで、日本の文化政策は、いまだ明確なビジョンが確立されていません。このため、文化の担い手である芸術文化団体の自助努力に負っているのが実態であります。したがって、我が国の芸術文化活動は観客や聴衆からの入場料が最大の収入源であり、ほとんどどこからも支援を受けることができず、芸術活動に携わる人たちが自分の経済的な収支をぎりぎりに切り詰めることによって、ようやく成り立っているというのが実情であります。その最大の原因は、芸術文化に対する社会的な認識がまだ確立されていないことにあると思います。その証拠に、日本には文化政策を進めていくよりどころとなる「文化基本法」や「文化振興法」、すなわちビジョンが定められていないのであります。  国や地方自治体の文化政策の現状は、その文化予算の使われ方にあらわれています。それは施設建設費や施設管理費、そして文化財保護に重点が置かれ、新しい形の芸術創造活動にはほとんど光が当てられないという状況が続いてきました。しかし、最近になってようやくハード一辺倒でなく、ソフトを育てることの認識が高まってきました。本府においては、いち早く「緑と文化の基金」を設けて先進的な取り組みが期待されているところでありますが、今後とも、府民の文化ニーズにこたえる施策の推進を願うものであります。  そこでお伺いいたします。  まず、文化振興条例の制定についてであります。既に東京都や熊本県では制定されていますが、文化振興を図るため、文化政策をつくるための基本的な物差しとなるものであります。「日本文化のふるさと」と自負する本府こそが、全国に、そして世界に発信することのできるビジョンの策定、すなわち条例の制定を図るべきであると思いますが、この点いかがでしょうか。  次に、今後、本府の各種施設の建設に当たっては、でき得る限り文化的、芸術的要素を取り入れたものにすべきであると思います。単調なコンクリートの箱や壁というものではなく、彫刻を施したり、彫像やその他の作品を置いたりというぐあいに、そのための予算や枠を確保してはどうかと提案しますが、いかがでしょうか。  3点目は、本府の各種公園、府民の森、京(みやこ)の川づくり事業で整備された河川敷など、公共空地や広場に府民が身近に芸術に親しむことができるよう、彫刻の森や広場を設けてはどうかということであります。
     作家には、あらかじめ展示場所を明示し、その場所にふさわしい作品を制作してもらう。場所によっては、その現場で制作をしてもらい、作家と府民がふれあうことができる「場」の提供も行うというものであります。もちろん、作品は買い上げで、作家は国内に限らず広く海外からも募ってはどうでしょうか。「京都へ行けば芸術家や府市民との自由な交流ができる」という、まさに国際的な芸術文化交流の場の創出であります。  以上の3点について知事の御所見をお聞かせください。  質問の第2は、地震・防災対策についてであります。  世界で発生する地震の約1割が日本付近で起きていると言われ、実際に我が国では、昨年の阪神・淡路大震災を初め、過去に何度も大きな地震に見舞われています。私たちは、そんな地震国で暮らしているのだという自覚とともに、多くのとうとい犠牲を無にすることなく、貴重な教訓として生かし、地震に対する万全の備えを一日も早く確立することが必要であると思います。  こうした観点から、私は府民にとってより身近な、そしてより多くの府民の理解と協力をいただきながら推進すべき具体的な方策について、提案を交え対策の強化を訴えるものであります。  その第1は、初期消火体制の充実・整備についてであります。  初期消火とは、火災が発生してから遅くとも10分以内に消火活動に取りかかることであります。あの阪神・淡路大震災での火災による被害状況を分析してみますと、震源地の南端となった淡路島の北淡町では初期消火に見事に成功し、消失家屋はわずかに1棟、焼死者はゼロにとどめたのであります。一方、神戸市では 7,379棟の家が焼け、 400人以上の焼死者を出したと言われています。北淡町の火災被害が皆無に近かったのは、農村型社会や地域であったからではありません。それは、ふだんからしっかりした消防団組織を保持していたからと言えます。  北淡町と神戸市の被害度をさらに詳しく比べてみますと、次のようになっています。北淡町の人口は約1万 1,300人、神戸市は約 152万人、火災は北淡町2件に対し神戸は 175件、家屋被害は北淡町が 2,268棟で神戸市が9万 4,111棟、死者は北淡町が39人、神戸市は 4,512人、このうちの約1割が焼死者であったことは、さきに述べたとおりであります。  したがって、総人口に対する被害家屋の割合は、神戸市は6%、北淡町は20%、死者は、神戸の 337人に1人の割合に対し北淡町は 290人に1人、火災発生も、神戸の 8,700人に1件であったのに対し北淡町では 5,500人に1件と、要するに、第1次災害では北淡町の方が被害発生の度合いは高かったと言えるのであります。北淡町の2件の火事のうち1件はぼやで終わり、もう1件は地震の9分後に発生しました。倒壊家屋から火柱が立ったのを見て、救出活動中の消防団員は直ちに二手に分かれて消火隊を編成、後刻、町の3台の消防車も到着して火災を鎮圧、延焼を防いだのであります。ところが神戸市では、無風で延焼速度はわずか時速20mほどでしかありませんでしたが、消防車や貯水槽が全く不足し、打つ手がなかったと言われています。  我が国の震災で最大級の被害を受けたと言われるあの「関東大震災」では、当日、低気圧の余波で強い風が吹き、延焼速度は時速 400mと神戸の20倍で、東京の家屋の7割が焼け、実に15万人が焼死したのであります。「時代が違う」という意見もあろうかと思いますが、本府の場合、特に京都市では戦前に建てられた古い木造の家屋が多く、全体の12%近くもあり、全国の約2倍となっています。したがって、いかにして火を出さないようにするか、火が出てもいかにして延焼させないようにするか、ここに重点を置いた対策が何よりも大事であると思うものであります。  そこで、注目されている消防団組織について触れておきたいと思います。  北淡町の消防団員は 565人で、これは町民の20人に1人という極めて高い組織率なのであります。ちなみに、死亡者が一番多かった神戸市東灘区では、人口約19万人に対し消防団員は 160人で、その割合は 1,190人に1人、その差は実に60倍近い開きとなっているのであります。  では、我が京都府や京都市の現状はどうかといいますと、本府の消防団員数は2万 144人で、このうち京都市は 4,115人となっています。したがって、府全体では 130人に1人、京都市は 350人に1人の消防団員ということになります。しかし、心配な点があります。それは本府の消防団員数が、この20年間で 3,412人と15.5%も減少していることであります。その上、団員の年齢構成では、全体に占める20代以下の割合が30%低下する一方、40代以上の割合が66%も上昇、特に50代以上の割合は実に 3.3倍になるなど高齢化が進んでいます。消防団員の定数は「消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例」で定められていますが、現在、本府における消防団員の法定定数は2万 1,324人で、その充足率は94%、京都市では定数 4,550人に対し90%の充足率となっています。私は、まず団員数の減少傾向をとどめるとともに、この定員数の 100%確保が急務であると思います。あわせて定数を見直し、増員を図るための方策を講じるべきではないかと思いますが、まずこの点はいかがでしょうか。  また、これからは消火活動についても女性の力をかりることも考慮する必要があるのではないでしょうか。例えば、本府には「婦人防火クラブ」という組織があり、 150団体、 7,000人が登録されています。こうした組織との協力体制や活動の充実強化も推進していってはどうかと思いますが、いかがでしょうか。流動人口が多く、人間関係が希薄な都市社会では、消防団組織の大幅な拡充は難しいのが実情であると思われます。  そこで、消防団を補完する組織として地域・職域における消火隊の創設を提案するものであります。これは、まず公務員による「職員消火隊」であり、教職員やPTA、学校施設利用団体による「学校消火隊」、そして地元の「企業消火隊」であります。現在「自衛消防隊」という組織がありますが、それに比べて、この3つの消火隊は装備の面でも、組織体制の面でも、格段に充実強化されたものでなければなりません。中小企業の多い本府であります。したがって、市区町村の地域ブロック単位に数社が集まって組織化し、消火隊の結成を図ることも可能であります。こうした地域・職域総ぐるみの消火体制の設立については、どのようにお考えでしょうか。  第2に、各町内につくられている自主防災組織の充実強化と実質的、効果的な訓練の実施であります。  現状では、いま一歩の感があり、町内単位に救助用器材や装備、救援ノウハウの提供など、本府並びに自治体の支援策が必要であると思いますが、現在の取り組み状況と今後の対策についてお伺いいたします。  第3に、ヘリコプターによる救援体制の整備についてであります。  このためには、まず離発着場の確保が何よりも重要であります。ところが、本府には公共用ヘリポートがありません。現在、京都府周辺に設置されている公共用ヘリポートは、兵庫県の神戸市と湯村温泉、それに播磨の3カ所、三重県の津市、福井県の若狭と、以上5カ所で、そのほかに大阪の八尾と兵庫の但馬空港が使用可能となっているだけであります。しかし今、各県ではこうした公共用ヘリポートの建設を計画中で、奈良県でも三笠山の近くに建設の予定と聞いています。私は、本府も京都市と協力して公共用ヘリポートを京都市内に1カ所、府下に1カ所建設をすべきであると思いますが、いかがでしょうか。  また、これとあわせて緊急離着陸場の確保も必要であります。本府では、京都市を初め各市町村で 323カ所を指定していますが、そのほとんどが災害時における府民の避難場所にもなっています。このため、関係者からは「ヘリポートとして使用することは不可能ではないか」との指摘がなされています。ヘリコプターがこうした場所に離着陸するためには70m掛ける50mのスペースが必要であり、その際、強烈な風が発生しますが、こうした点をいかにクリアし、かつスペースを確保するのか、その方策についてお聞かせください。  また、聞くところによりますと、京都大学の第3キャンパス構想に関して調査費が計上され、伏見区桃山丘陵が移転候補地となっているようでありますが、こうした場所にもヘリポートの建設は可能でありますし、さらに京都大学宇治キャンパスにおいて、近い将来、10数階建てのインテリジェントビルが建設される計画であると聞いています。私は、ここにも防災拠点として、ビルの屋上にヘリポートを設置してもらえるよう国に要望すべきであると思いますが、こうした点いかがでしょうか。  現在、全国でヘリコプターは約 1,000機あり、そのうち自衛隊が 600機で、残り 400機が自治体や民間等で保有されています。そこで、私は民間のヘリも緊急時に活用する方策を立てておくべきであると思います。過日、私は京都に設立されています民間のヘリコプターによる緊急災害時初動組織である「空援隊」の災害支援訓練を視察してまいりました。このグループは、昨年の阪神・淡路大震災の折、発生直後の1月19日から21日までの3日間で延べ58回の緊急支援物資の空輸をした実績を持っています。また、和歌山県にも同様の空援隊が組織されていますが、ここは既に県の消防防災部門と協力体制ができ上がっています。私は、本府もこうした組織との連携など、あらかじめ協力体制を整えておくことも必要であると思いますが、いかがでしょうか。  第4に、防災タクシーシステムの導入についてであります。  これは本府に営業所のある法人タクシーの協力を得てタクシー無線を活用した緊急・災害時の情報収集や伝達、トランクには飲料水や非常食、バールやロープなどの救援用器材などを搭載し、救命救急活動にも当たる全天候、24時間体制の防災支援組織であります。  現在、東京都内ではタクシー協会とニッポン放送が提携し、放送局の防災情報デスクに被害状況や安否情報を通報する方式で、ふだんは都内の積雪情報や渋滞状況、高速道路情報などが実際に放送され好評を得ています。また、同様の方式が大阪でも導入されたと聞いています。私は、本府においてもこうしたシステムの導入を考えてはどうかと思いますが、いかがでしょうか。  防災対策の最後は、京都府庁消防計画についてであります。  消防法によって一定規模以上の役所や事業所には自衛消防組織の編成が義務づけられ、消防・防火訓練を実施することとなっています。本府の庁舎におけるこうした訓練は実施されているのでしょうか。今や府民挙げて防火・防災の意識高揚に努めているときに、かなめとなるべき京都府庁こそが率先して訓練を実施すべきであると考えますが、今日までの状況及び今後の対処についてお聞かせください。  以上、防災対策について5点にわたって提案を含め質問をいたしましたが、これらの点について知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第3は、救命率の向上を図るための心肺蘇生法の普及についてであります。  平成3年に「救急救命士法」が制定されて5年、医師にしか認められていなかった高度な応急処置ができる救急救命士の資格取得者は全国で約1万 1,000人、このうち救急隊員として第一線で活躍している人が約 3,300人います。本府では、京都市を初め府下の全消防本部、消防組合等に 115人が配置され、着実に実績を上げています。  消防庁によりますと、昨年1年間に全国の消防機関が医療施設に搬送した心肺停止状態の患者は7万 2,016人に上っていますが、救急救命士が応急処置を行い、医療機関に収容された患者の救命率は 5.9%で、一般の隊員が応急処置を行った場合の 3.7%に比べて 1.6倍も高いことが判明しています。しかし、欧米諸国の救命率30%前後と比べれば、まだまだ低いことがわかります。  救命率の向上を図るために、救急救命士制度の一層の普及充実を目指すのはもちろんのことですが、さらにどのような手だてが今求められているのかといえば、それは救急車が現場に到着するまでの応急手当の問題なのであります。救急車が現場に到着するまでの所要時間は平均5分18秒となっています。急病や事故で心臓が停止した場合、数分以内に脳や心臓に血液を送るための人工呼吸や心臓マッサージを行わなければ、その後に高度な処置がなされても心臓機能がもとに戻ることは難しく、仮に戻ったとしても重大な脳神経障害が残ることが多いのであります。  このように、心拍停止後に人工呼吸や心臓マッサージ、すなわち心肺蘇生法を早く施せば施すほど蘇生率が高く、遅ければ遅いほど死亡する割合が高いことが知られています。呼吸停止2分後なら90%が助かり、3分後なら75%、4分後では50%、5分後でも25%の割合で生命を救えるチャンスがあります。つまり、このわずか数分間に現場に居合わせた家族や市民が応急処置をするかしないかが生死を分けることになるのであります。  欧米では、ボランティア活動の中で救命手当の講習を受ける人が多いと聞いています。特にアメリカでは 7,000万人の市民が心臓病学会や赤十字主催による講習を受けていると言われ、市民による初期救命処置が高い救命率を誇っているのであります。  一方、我が国でも、自治体や消防署を初め医師会、日赤、企業等によって地道な普及活動が展開されています。例えば、兵庫県では6年前から「愛する人を救えますか」というスローガンで普及を進め、既に県民の5分の1に当たる約 108万人が受講するという実績を上げています。さらに、文部省では高校生の保健体育の授業に、警察庁では自動車運転免許取得時の講習科目に導入し、厚生省は各地で保健婦に講習を進めるなど、それぞれ普及に取り組んでいますが、全国的にはいまだ欧米並みのレベルには達していないのが現状であります。その証拠に、これは東京都の例ですが、昨年度救急隊が搬送した心肺停止患者 6,903人のうち、救急車到着前に現場で一般の人から心肺蘇生法を施された患者はわずか 9.8%の 675人しかいません。ところが、ニューヨークの場合はどうかといいますと、搬送された心肺停止患者の3人に1人は一般人の救命処置を受けているとのことであります。  我が国においてもこれが普及すれば、救命率は飛躍的に上昇するとの専門家の声があります。ますます高齢化が進んでいく中で家族の中に救命処置を心得た者がいれば、これほど心強いことはないでしょう。府民に広く普及し定着を図っていくためにも、本府は積極的な対策に取り組むべきであると思います。  私は、ちょうど5年前の平成3年12月議会代表質問で、こうした問題を取り上げ、提案をいたしました。その後、各分野でそれなりの推進はなされてきたように思いますが、取り組み状況はばらばらで、本府における普及状況さえ明確ではありません。現在、震災対策を中心として地域防災計画の見直しを進めている本府ではありますが、防災対策を府民的レベルに拡大、定着する一方策として、ぜひこの心肺蘇生法の普及対策を本府が関係機関と連携・協力しながら統一して大々的に推進すべきであると思いますが、いかがでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。  質問の第4は、より開かれた地方自治の確立についてであります。  豊かな暮らしと生活者の政治を実現するためには、従来の中央集権型の意思形成や資源配分のシステムを改め、市民や地域等の選択と責任で主体的に参加、決定していくものに転換する「自立と参加」による地方分権の確立が不可欠であります。すなわち、分権の裏づけとなる行財政権限を中央から地方に大幅移譲し、地域行政の自由化、地域間競争を促進することであります。  しかし、こうしたシステムを整えるためには、地方においても改革の努力が必要であります。それは住民の選択、責任の原則の徹底と住民の参加、監視の機能の充実を図るとともに、組織・機構の簡素・合理化、事務手続の簡素化、住民への情報提供の拡充、地方議会の活性化など、地方における行政改革の一層の推進であります。  今後、現実のものとして地方分権が進めば、自治体の役割と責任は非常に大きなものとなります。したがって、地方分権推進委員会の中間報告にも、分権を進める上で地方自治体の公正さや透明性を高めるための方策として、1)外部監査機能の導入も含めた監査の強化、2)情報公開体制の整備による透明性の向上、3)住民投票制度の検討、4)ボランティア活動との連携などを提案しています。  こうした地方自治体をめぐる改革の動きに拍車をかけたのは、特に昨年来より厳しく指摘され、批判を受けた官官接待とその後次々と発覚した公費の不正な支出に対する住民の怒りであります。一連の公金の不正支出は、情報公開制度を利用した市民団体など地域住民の努力によって暴かれてきました。その際、行政側に目立ったのは、実態を明らかにするどころか、個人のプライバシーを盾に情報を隠そうとする姿勢でありました。結局、地域住民は司法の判断を仰ぐことになり、司法が行政側に厳しい判断を下して、ようやく行政が態度を改めたというケースは少なくないのであります。  現在、既に情報公開制度があっても、行政の都合のいいような仕組みでは、かえって隠れみのとして使われるだけであるとの厳しい指摘や、住民にとってより利用しやすい制度に改善すべき点も少なくないとの意見も数多く出されています。さらに、行政の透明化を促進することも重要で、監査制度の見直しなど制度の刷新を目指す声が上がっています。  総理大臣の諮問機関である地方制度調査会は先月26日、専門小委員会を開き、第三者が都道府県や政令都市など自治体の行財政をチェックする外部監査の導入を決め、今月10日に開かれる「地方制度調査会総会」に中間報告として提出されることになりました。調査会が都道府県などへの外部監査の義務づけに踏み切った背景には、さきに述べましたように、官官接待や空出張など自治体の不正経理問題が続発し、これまでの内部監査の限界が露呈したことにあります。  こうした事態を未然に防止するため、イギリスなどでは既に、日本の公認会計士に相当する会計士が第三者の立場から自治体の財政状況を監査する制度を導入しています。地方分権論議が本格化する現在、中央省庁が分権に反対する根拠の一つが自治体の行政能力なのであります。外部監査を導入して効率的な行財政を実現することで、分権推進の国民世論を引きつけることができると思うものでありますが、以上、申し述べてきました諸点について知事の御所見をお聞かせください。  次に、オンブズマン制度についてであります。  これは、19世紀にスウェーデンに生まれ、第2次世界大戦後世界各国に広がった制度で、オンブズマンとは「代理人、代弁人」という意味であります。したがって、市民の代理人として住民の権利擁護と利益の救済を図るとともに、行政・官公庁を監視する制度ということであります。  現在、都道府県では沖縄県と宮城県が、政令都市では川崎市と横浜市が、その他に長崎県諫早市、新潟市、埼玉県鴻巣市、神奈川県逗子市、藤沢市などの自治体が、行政の全般または一部に関するオンブズマン制度を導入し成果を上げています。中でも、先駆的な導入で注目を集めた川崎市では、6年間の実績を振り返り「慣習的にやっている仕事に異議が申し立てられ、職員に緊張感が出てきた」と効果のほどを述べています。  一方、国会においても昨年8月から参議院に「行財政機構及び行政監察に関する調査会」を設置し、制度の検討を始め、本年6月に中間報告を参議院議長に提出しました。こうした動きを受けて、府民の皆さんから本府においても「府民オンブズマン制度の創設を図るべきである」との意見がありますが、知事の御所見をお聞かせください。  質問の第5は、京都府と京都市が協力して進める事業についてであります。  荒巻知事は先月11日、桝本京都市長と初めて懇談し、幾つかの事業についてお互いに協力し合うことを合意しました。府知事と京都市長の懇談は、18年前の昭和53年から毎年定期的に開かれているもので、府市協調の実を上げる原動力となってきたと言っても過言ではありません。京都市内から選出された私たち府議会議員としても、大変に心強く高く評価いたすものであります。私は、今回の合意事項のうち2つの事業について触れておきたいと思います。  まず、京都市の地下鉄東西線の延伸計画についてであります。  現在、着工している区間については、明年11月に開通の予定で進捗していますが、新たに二条から西大路と醍醐から六地蔵までの延伸について、本府に対し財政支援の要請があったということであります。本府は、既に烏丸線やその延伸路線の建設についても事業費の支援をしてきたわけでありますが、今回の要請のうち特に伏見区醍醐地域に隣接する府域の宇治市六地蔵地区が対象路線となっていることに注目をいたしております。なぜなら、この醍醐-六地蔵間が建設されますと、宇治市を中心とする府南部のJRや京阪沿線市町と京都市東部地域との交通アクセス、利便性が飛躍的に改善され、これら地域の府民が受ける利益ははかり知れないものがあると言っても過言ではありません。  そこで、計画を軌道に乗せ、早期着工、早期完成させるためにも、これまでの資金援助よりは、さらに上積みした額を算定する積算方式に改める必要があると思うものであります。こうした例は大阪府でもあり、極めて自然な方式であると思いますが、知事のお考えをお聞かせください。  次に、京都市内の2つの河川、府管理の西高瀬川と市管理の堀川の水源確保についてであります。  西高瀬川は治水対策による河川改修で天神川より東の部分について、堀川は都市計画に伴う事業の推進によって、それぞれ水のない川になってしまいました。京都市の中心部を流域としながら、雨が降ったときだけ流水がある巨大な排水路と化し、景観上も見苦しい限りであります。  鴨川を源流として木屋町筋を流れる高瀬川の清流には何とも言えぬ風情があり、京都を訪れる人々の足をとめ、心を和ませてくれています。都市から水がなくなるということは、それはやがて荒廃を来すことにつながります。歴史上、都市の盛衰・興亡を見れば明らかであります。平安建都1200年の事業を成功裏に終え、既に1300年に向かってスタートを切った今日、荒巻知事の平成の川づくりともいうべき「京(みやこ)の川づくり事業」の一環としても、ぜひとも成功させたい大きな事業であると思います。  そこで、予想されます水路でありますが、鴨川や疎水から取水し堀川へ、そして一部二条城の堀も経由させながら西高瀬川へとつなぐ水路、もう一つは、桂川から天神川より東部の西高瀬川へとつなぐ水路の開発であります。鴨川、桂川、琵琶湖疎水等、水源の水利権など非常に難しい問題点が山積していることとは存じますが、関係者の英知を結集し取り組んでいただきたく思います。  以上、2つの事業に対する取り組みについて、知事の御決意のほどをお聞かせください。  最後に、2点要望をさせていただきます。  まず1点目は、先ほどの府市協調と関連しますが、私の地元山科区椥辻地域の交番移転の件についてであります。  この椥辻交番の敷地は民間からの借地で、既に賃借期限が切れ、地権者の厚意で何年も延長されてきたものであります。今日まで関係者の御協力で方々移転先を探し対応してきたわけでありますが、この際、京都市の協力を得て、現在地からできるだけ近くの場所に設置できるよう、また一日も早い決定がなされるよう強く要望をいたすものであります。  2点目は、我が会派が昨日提出いたしました平成9年度京都府予算に対する要望事項についてであります。  厳しい財政事情が続く中での予算編成となっていますが、知事におかれては、行政経費の徹底した削減と役割の終わった事業の見直しなど、スクラップ・アンド・ビルドの一層の徹底を図るとともに、府民の生活向上と福祉・医療の充実や安心・安全の確保に関する予算については後退することなく、めり張りのついた予算となりますよう強く要望いたします。  以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 4: ◯議長小林弘明君) 荒巻知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 5: ◯知事荒巻禎一君) 松尾忠昌議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、文化・芸術の振興についてでありますが、議員御指摘のとおり、文化の振興に当たりましては「共感と参加」という視点が大切であり、府民の皆さんや各種文化団体などが文化の担い手としての自覚を高め、それぞれの役割を果たしていくことが重要であると考えております。  文化振興の指針につきましては、昭和56年の「京都府文化懇談会提言」を踏まえ文化施設を進めてきたところでございますが、心の豊かさを求める時代への変化などを踏まえ、現在「京都の府民文化の未来を考える懇談会」におきまして、生活文化、地域文化、芸術文化などのあり方について御審議をいただいているところでございます。懇談会からの提言を受けまして、これを新たな文化振興の指針と位置づけまして、引き続き文化振興施策の推進に努めてまいりたいと考えております。  なお、他県の文化に関する条例につきましては、文化振興のための基金の設置や基本方針の策定などを内容としたものと承知をいたしておりまして、京都府におきましても「緑と文化の基金に関する条例」を制定いたしましたのも、文化振興の思いからでございます。  また、府民の交流する施設につきましては、彫刻や陶板壁画などの設置に努めているところでございまして、今後とも、御提案のありました文化的、芸術的要素を取り入れることに配慮してまいりたいと考えております。  例えば、最近建てました府の施設等いろいろ見ていただいていると思いますけれども、府民総合交流プラザとか、学研都市の記念公園あるいは綾部工業団地、また府の総合社会福祉会館、そういうものに対しまして、かなりいろいろの文化的な彫刻あるいは絵画等も設置をいたしておりますし、またゼミナールハウスやフラワーセンターにも、いろいろ彫刻などの設置を図っておるところでございます。さらに、府民の皆さんに彫刻に親しんでいただくために、毎年府立植物園におきまして「京都野外彫刻展」を開催し、その出展作品の一部を買い上げ、公共施設に設置しているところでございます。  今後とも、議員御指摘の趣旨を踏まえまして、府民の皆さんの文化・芸術に親しむ機会の充実に努めてまいりたいと考えております。  次に、地震・防災対策についてでありますが、議員御指摘のとおり、火災等の被害を最小限に食いとめるためには初期の消火活動が極めて重要でございます。初期消火活動のかなめとなります消防団員が、全国的な傾向とはいえ、京都府内におきましても減少、高齢化傾向にあります中で、何とか団員確保の一助ともなるよう、他県に例を見ない形で団員の御苦労に報いる、寸志ながら消防団員激励事業を実施するなど、積極的な強化策を進めているところでございます。  さらに、消防団員の高齢化やサラリーマン化が進む今日、地域防災を支えるためには女性の活躍が大いに期待されるところから、市町村とも「婦人防災クラブ」などの育成指導に一層取り組んでまいりたいと存じております。また、地域・職域総ぐるみでの消火体制や自主防災組織の整備ということにつきましては、阪神・淡路大震災におきましても、初動段階での自主的な防災活動が非常に効果を発揮しましたように、その組織化を後押しすることが特に重要と考えております。このため、京都府におきましては手引書やパンフレットの作成、総合防災訓練への参加などの取り組みとともに、市町村が実施する資機材整備や啓発事業などについて、国の補助制度や京都府独自の補助制度によって、引き続き市町村の支援に努めてまいりたいと存じます。  ヘリコプターによる救援体制についてでありますが、公共用ヘリポートの建設につきましては、京都府といたしましても今日まで京都市を初め関係市町とともに地域間輸送、すなわちヘリ・コミューター航空を前提に種々の検討を重ねてきたところでございますが、現行においては安全性など、さらに慎重な検討が求められているところでございまして、今後とも、関係市町の意向をも尊重しながら対処してまいりたいと存じております。また、緊急離着陸場と避難場所との関係や新たなヘリ基地の確保につきましては、広域防災拠点のあり方などについて検討を進めてまいる中で重要な課題と考えております。  特に、お話にありましたように、緊急に着陸する場合に、緊急避難場所には既に住民の方々がもう避難してしまっておられるという場合には、大型のヘリあるいはたくさんのヘリは、そこへは危険で降りられないということが阪神・淡路大震災の際にも非常に大きな問題となりました。たまたま王子の運動公園は、いわゆる「さく」がありまして一般の方が入っておられなかったので、そこを急に活用して当場をしのいだということもございまして、あらかじめそういうふうな緊急着陸ができるような場所を頭に置いて整備していくことも非常に重要だというふうに存じております。  なお、緊急災害時における民間ヘリやタクシーとの連携につきましての御提案でございますが、これらは民間主導の取り組みでもありますが、どうすれば安全性やその有効性などが保てるかということについて研究をしてまいりたいと存じます。  特にJCの皆さんが、阪神・淡路大震災のときにヘリを使って相当活発な救援活動をやられたという実績もございまして、その後、その方々から「ヘリが離発着できるようなヘリ基地を整備してほしい」というお申し出も受けておりまして、私も頭の中に常にこの問題を置いて研究をしていきたいというふうに存じております。  府庁庁舎の消防・防災訓練につきましては、去る9月3日の「京都府総合防災訓練」の一環として初期消火・連絡通報訓練を行いますとともに、職員の防火教育訓練も実施しているところでございますが、今後とも、御指摘の趣旨を踏まえまして訓練の充実に努めてまいりたいと存じております。  心肺蘇生法の普及・啓発についてでありますが、心肺蘇生法は救急患者の救命率を向上させる上で非常に重要であると認識をいたしております。このため、京都府におきましては各保健所において広く府民を対象とした心肺蘇生法などの講習会を医師会などの協力をも得る中で開催いたしますとともに、本年度からは京都府の新規採用職員を対象とした講習会を開催するなど、府職員に対する取り組みも始めたところでございます。また、日本赤十字社や府内の消防本部、中学・高等学校、自動車教習所などにおきましても同様の講習会が開催されるなど、平成3年度の救急救命士の制度創設と相まちまして、さまざまな機関において心肺蘇生法の普及が進められてきているところでございます。  心肺蘇生法の府民への普及は、議員御指摘のとおり、関係機関の連携、協力をいただきながら幅広い普及ができるよう、より一層努めてまいりたいと考えております。  京都府の情報公開制度につきましては、原則公開という条例の趣旨にのっとりまして、また学識経験者で構成されております「府公文書公開審査会」の御意見もお聞きしながら、府民からの御指摘のような批判を受けることのないよう、適正な運用を図ってまいりたいと存じております。  また、外部監査制度につきましては、第25次地方制度調査会から年明けにも、現行の監査委員制度の充実とともに、新たに都道府県などが委託した弁護士、公認会計士などによる外部監査制度を導入する旨の答申が行われる予定と聞いておるところでございます。  京都府といたしましては、今後、こうした動きに応じ、府議会の御意見もお伺いしながら適切に対応してまいりたいと存じております。なお、京都府では、本庁と各地方振興局に「府民相談室」を設け、直接府民からの要望や苦情に対応しているところでございます。  議員御指摘のオンブズマン制度の創設につきましては、現行地方自治法の住民直接監査請求諸制度の活用や、ただいま申し上げました監査制度拡充の動向も注視しながら、幅広く研究してまいりたいと存じております。  いずれにいたしましても、今後とも、府民に開かれた公正で効率的な行財政運営に努めてまいりたいと存じます。  地下鉄への支援についてでありますが、京都府といたしましては府市協調の立場から地下鉄烏丸線・東西線の建設に対し、昭和56年度より京都府独自の財政支援を行ってまいったところでございますが、平成7年度からは従来の支援に加え、国の新たな支援措置と並行した新たな財政支援も行うなど、京都市内の交通網の整備充実に努めてきているところでございます。  お尋ねの延伸問題についてでありますが、過日の11月11日にありました京都市長さんとの懇談の機会にも現況を伺ったところでございまして、現在、京都市において地質調査、測量などの基礎調査や免許の取得に向けての関係機関との調整など、諸準備が進められているところでございます。  京都府といたしましては、今後とも、計画の進展とあわせ十分協議・調整を進めまして、沿線の皆様方の利便性向上が図れるよう努力してまいりたく存じておりますので、御支援のほどよろしくお願い申し上げます。  最後に、西高瀬川及び堀川の水源確保についてでありますが、身近な水と緑の回復は環境上、防災上からも重要な課題と考えているところでございます。現在、京都府では「京(みやこ)の川づくり事業」を推進しておりますが、整備に当たりましては、その整備方針の一つであります「きれいで豊かな水を確保する川づくり」ということを念頭に、地表に潤いを与え、地下水を涵養するなど、自然にやさしい水環境を回復し、あわせて水量の乏しい河川を再生する必要があるものと考えております。  西高瀬川及び堀川につきましても、このような思いの中で水量を確保してまいりたいと考えておりまして、先日の京都市長さんとの懇談会におきまして提案をいたしましたところ、西高瀬川と堀川の水源対策を「府市協調して今後一緒に検討していこう」ということになったところでございます。  水量の確保に当たりましては、鴨川や桂川からの導水、琵琶湖疎水の活用、また地下水の活用などが考えられますが、単に一河川の問題としてだけではなく、京都市内全体の河川・水路の水量をどう確保していくのか、どう配分していくのかという観点から、議員御提案の点も踏まえまして検討してまいりたいと考えております。 6: ◯議長小林弘明君) 次に、山脇闊君に発言を許します。山脇闊君。    〔山脇闊君登壇〕(拍手) 7: ◯山脇闊君 社民・さきがけ・府民連合府会議員団の山脇闊でございます。会派を代表いたしまして、既に届け出をいたしております5点について質問をいたしたいと思います。  質問の第1は、今後の財政運営についてであります。  我が国においては、バブル経済崩壊後、長期低迷する景気動向の影響を受けて、国債発行残高が本年末には 240兆円を上回るなどのまさに危機的な財政赤字の状況にあります。このことは地方財政についても同じことで、地方税の伸び悩みや地方交付税の落ち込み等により、引き続き巨額の財源不足を生じる深刻な事態にあり、この結果、本年度の借入金残高は 136兆円を超える見通しで、国同様に非常に厳しい状況にあります。  この夏、蔵相の諮問機関である財政制度審議会がまとめた中間報告では「今日の財政赤字は景気がよくなれば消えていく循環的なものではなく、高齢化の進展などを背景にした構造的なものである」との認識の上に立って、財政構造改革の必要性や財政赤字の削減目標の設定について、具体的に言及しているところであります。
     ここで示されている目標の一つに、累積債務残高がGDP(国内総生産)に占める割合で判断するというEU(欧州連合)モデルがありますが、これによると、ヨーロッパ諸国の対GDP比は60%台であるのに対し、我が国は89%と高率で、先進主要国でも最悪の状況にあると言われています。  いずれにいたしましても、今、累積債務の増加が財政の健全性を損なう要因になっていることに間違いありません。  ところで、本府では、従来から荒巻知事の堅実な財政運営、すなわち余裕のあるときは基金として蓄え、不況時に思い切って基金を取り崩しての活用、この先見性に満ちた財政運営の成果として、府債の現在高の状況は他府県に比べると相対的に低い状況にはありますが、それでも、この間の税収減、景気対策等の支出増は府債現在高を急増せしめ、本年末の見込みは 7,277億円となり、まさに当初予算額に近づかんとする勢いです。  去る10月14日には、来年度当初予算の編成方針が提示され、大変厳しい財政状況の中で府予算の編成作業中とのことでありますが、ここまで比較的順調に進められてきた重要施策の進行をここでとどめることなく、第4次総合開発計画の最終年を迎えるに当たり、引き続き府民ニーズの高い社会資本の充実整備等に積極的に取り組んでいただくことを強く望んでいるものでありますが、現実の問題として、事業の財源確保その他について困難さがあると想像されますが、この際、知事の御所見を伺っておきたいと思います。  次に、地方単独事業に係る財源措置についてであります。  今日、国民経済に占める地方財政の役割は非常に増大しており、とりわけ国民生活の基盤を支える社会資本整備については、全体の約4分の3を地方公共団体が行っていると言われています。中でも近年は、国の補助事業に依存するのではなく、地域活性化の観点から地方公共団体が、自主的、主体的な地域づくりのために、特色ある社会資本の整備を単独事業として積極的に行っております。  特に「ふるさと創生1億円事業」を契機に盛り上がった各地の地域づくりは、平成2年には「市町村シンボルづくり総合補助金事業」となり、府独自の制度として創設されるに及んで、それぞれの地域の特性を生かした魅力あふれる地域づくりと地域のシンボルの創出が府内14市町村で展開されてきたところであります。大宮町の小町温泉、クアハウス岩滝に始まった温泉掘削から「赤れんが博物館」「日本の鬼の交流博物館」など、あるいは「五老スカイタワー」や「舟屋の里公園」など、広く人々に親しまれ、地域活性化の原動力となっている諸施設がつくられてきております。  これらをさらに有機的な連携や広域的な取り組みの拠点化を図ることによって、地域活性化に大きな力を発揮するものと考えるためには、これまでどおりの財源措置が求められておるものと思いますが、これについての知事の見解をただしておきたいと思います。  次に、産業廃棄物問題について質問いたします。  廃棄物は、人々の日常生活や事業活動に伴い必然的に発生するものであり、これを適正に処理することは、地域の生活環境を保全するとともに、健全な産業活動を維持する上で必要不可欠であり、極めて重要な社会的課題であります。特に産業廃棄物につきましては、処分場の確保が非常に困難になる中で、今後とも適正処理が確保できるのかどうか懸念されますし、地球環境問題との関連も含め、廃棄物のリサイクルの促進もこれまで以上に重要になってくると考えられます。  廃棄物は、その処理を規定している「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によりますと、一般廃棄物と産業廃棄物に分類されますが、いわゆる家庭ごみを中心とする一般廃棄物については、法律上、市町村の処理責任が明らかになり、処理施設や処分場の整備も市町村が行うなど、処理の社会的システムは極めて明確であります。しかも、これらの施設整備に当たっては、国庫補助制度が確立しており、府においても技術的な指導を初め、さまざまな支援がなされているところであります。さらに、近年は粗大ごみ処理とあわせてリサイクルの推進や住民啓発の機能を持ったリサイクルプラザなども補助の対象となることになり、今後の廃棄物処理の新しい方向が府下市町村でも計画され、その成果が大いに期待されているところであります。  このように、一般廃棄物に関しては、なお処分場の確保難や処理費の増大など引き続き課題はあるものの、補助制度を含め基本的な処理のあり方が社会的に確立しているのでありますが、産業廃棄物に関しましては、このようなルール化がなされていないのが現状であります。  全国の産業廃棄物の発生量は約4億トン──平成5年度厚生省資料でありますが、このうち約 1.5億トンは再生利用されるものの、中間処理後の物を含め、最終処分量は約 8,400万トンに達するとされております。これは、一般廃棄物の全国の発生量が 5,000万トンとされているのに比べても大変な量であります。  一方、これらの処理は、それを排出する事業者の責任であるとされているわけでありますが、実際には、産業廃棄物の処理を行うさまざまな処理業者があり、これらの業者に相当部分が任されているのが実態であります。処理の方法も一律ではなく、この結果、どこの事業者から出た廃棄物がどこでどのように処理されているのか、極めてわかりにくくなっており、このことが不法投棄を招いたり、処分場の設置等に当たって地元住民の不信感を招く要因にもなっていると考えられます。  また、産業廃棄物処理施設の整備に関しては、一般廃棄物と異なり、補助金等の支援措置はなく、住民の信頼確保や環境保全の要請の強まりに対応して、ますます高度な処理施設整備が求められる中で、処理業者等による施設整備は、今後一層困難になることが予想されます。  先月末には、岐阜県御嵩町で柳川喜郎町長の襲撃事件が起きた報道がなされていますが、私は産業廃棄物の処理についても、きちっとしたルール化を図り、社会的システムを確立していくことが、今最も求められていると考えています。  京都府では、これらにかんがみ、京都府環境保全公社に対して公共関与をされていることを通じて、産業廃棄物が多量に排出され、質も多様化している状況の中で、経営基盤の弱い中小事業者や処理施設が整備されていない地域の排出事業者における適正な処理を確保するために努力されていることを高く評価しているものでありますが、今後とも、一層公共関与を強めていくことが求められているのではないかと考えています。  そこで、知事にお伺いいたします。産業廃棄物処理施設の設置に当たっては、地域住民の不安を解消し理解を得るためには、施設基準の強化など安全対策の充実を図るとともに、廃棄物の排出から処分までの流れを的確に把握し監視できるようにするなど、処理システムを確立することが必要と考えますが、知事の御所見をお伺いいたしておきたいと思います。  次に、京都府北部における社会資本の整備の現状と今後の方針について質問いたしておきたいと思います。  京都府北部地域の活性化にとって不可欠な社会資本の整備については、まず道路整備でありますが、関係者の懸命な御尽力により、本年4月に京都縦貫自動車道の丹波インターまでが開通し、京都市内への所要時間が大幅に短縮され、利便性の向上が図られたところであり、また綾部宮津道路の南区間についても急ピッチに工事が進捗しております。また、近畿自動車道舞鶴線につきましても、舞鶴西インターから東インターまでの工事が順調に進捗しており、これらが完成いたしますと、夏場を中心とした西舞鶴市街地の渋滞解消に大きく寄与し、近年ふえつつある観光客の受け入れもスムーズになるなど、市内全体の交通の円滑化に大きな役割を果たすものと期待をいたしております。  都市計画事業では、御案内のように、長年の懸案でありましたJR東舞鶴駅付近の連続立体交差事業と関連の地域整備計画について、本年7月の高架開通により、踏切事故の解消とそれまで南北に分断されていた地域の一体化が図られることになり、今後、東舞鶴地区の活性化に大いにプラスになるものと確信いたしております。  このように、京都府では大変厳しい財政状況のもと、府民の生活を足元から支える社会資本の整備に積極的に取り組まれてきましたが、京都縦貫自動車道の綾部宮津道路や丹波綾部道路、さらに近畿自動車道舞鶴線の東インターまでの進捗状況と今後の見通しについて、知事の御所見をお伺いいたしたいと思います。  次に、舞鶴港の整備についてであります。  現在、舞鶴港におきましては、東港と北海道小樽を結ぶ国内フェリー航路とあわせて、西港と日本海対岸諸国を結ぶ舞鶴・韓国定期航路、TSCS(トランス・シベリア・コンテナ・サービス)などの外国貿易航路が開設されております。  そこで、舞鶴港における取り扱い貨物量の動きを見てみますと、平成7年の取り扱い量は国内向けの移出入が約 748万トン、外国向けの輸出入が約94万トン、合計約 842万トンとなっており、5年前の平成2年と比較しますと、その規模は約 1.3倍に拡大してきております。  こうした中で、舞鶴港では平成7年に3万トン級の船舶が接岸できる喜多埠頭が完成を見、さらに和田埠頭において日本海側で最大となる5万トン級のコンテナ船が接岸可能な岸壁2バースの整備が始まるなど、港湾機能の高度化、近代化が着々と進展しているところであります。  さらに、近畿自動車道舞鶴線や京都縦貫自動車道などの高速道路網の整備によって、京阪神地域との時間距離が一層短縮されることとも相まって、舞鶴港の対岸貿易、対アジア貿易の拠点としての重要性はますます高まってきたものと考えられます。また、昨年1月に発生した阪神・淡路大震災の教訓から、安心・安全のまちづくりの拠点としての港湾の重要性が認識されておりますが、幸い舞鶴港では既に東港・西港におのおの1バースの耐震バースが整備済みであり、西港第2埠頭の多目的クレーンについても早速に耐震補強工事が実施され、さらに第八管区海上保安本部では防災機能の充実した船舶を建造中であり、いずれ舞鶴港に配備される予定と聞いて、力強く感じているところであります。  さて、長年の海軍関係者を中心とした多くの人々の運動が実を結び、今年から7月20日が「海の日」として国民の祝日となりました。海の恵みに感謝し、人々の生活と海との関係を見詰め直すいい機会ができました。これに関連したイベントとして、今年度から「丹後フェスタ '96」が府主催で開催されました。たまたま、このときには西港第3埠頭に運輸省の海洋練習船「海王丸」が寄港し、その美しい船体を一目見ようと家族連れを中心に多くの人々でにぎわいました。これをスタートとして橋立、北部地域の美しい海岸線と高原、数々の伝説に彩られた歴史、豊かな海の幸、丹後ちりめんに代表される地場産業などを含めたイベントの成功は、新しい地域活性化の芽を見出したものと感じております。  さらに、平成7年3月に「京都府地域輸入促進計画」が国の承認を受けて以来、事業主体となる第三セクター「株式会社舞鶴21」の設立、このたび、この会社によって施設建設の起工式が施行されました。こうした現状は、まさに舞鶴港は運輸にかかわるだけでなく「ウォーターフロント計画」を通じ、観光にも、FAZに係る「株式会社舞鶴21」を通じ、物流機関としても多方面の活用をされることとなりました。港湾管理者であり「株式会社舞鶴21」の会長でもある知事の、今後こうした問題についての決意を聞いておきたいと思います。  まず第1は、府民が海に親しめる魅力ある施設整備についての基本方針であります。2つ目には、大型コンテナ船専用和田埠頭と大波下埠頭の整備についてであります。第3点は、FAZ施設、第2和田埠頭あるいは港湾諸施設と27号に接続する道路の完成であります。第4は、これらの整備を背にしたポートセールスの好機会でありますが、今後の取り組みについての方針を聞かせていただきたいと思います。  以上、港に関連した諸機関の今後の運用についての質問をいたしまして、本件についての質問を終わりたいと思います。  次に、JR舞鶴線の電化・高速化について質問いたします。  地域住民が長年にわたり待ち望んでおりました山陰本線・宮福線等の電化・高速化事業が完成し、本年3月にめでたく開業を迎え、京都府北部地域における縦貫幹線鉄道網の整備が着実にかつ飛躍的に進展いたしておるところでありますが、府北部の主要な都市であります綾部市と舞鶴市を結び、またJR山陰本線やKTR宮津線と結節する府北部地域の交通ネットワークを形成する極めて重要な路線でありますJR舞鶴線は、いまだ非電化のままであり、本年3月のダイヤ改正では電車特急と接続するリレー号新設やタンゴ・エクスプローラーの経路変更など、現有施設を最大限活用して利便性の確保に努めていただいたものの、直通の優等列車が減少するなど不便を来している状況でありまして、綾部駅のプラットホームの寒さを腹の底から感じているものであります。このままでは舞鶴線が広域交通網から取り残され、舞鶴地域の地盤沈下が始まるのではないかと地域住民ともども危機感を抱いてきたところであります。  こうした中で、舞鶴市や綾部市及び地元関係者が「JR舞鶴線電化・高速化促進協議会」を設立し、鉄道利用の促進や鉄道を中心としたまちづくり等を一丸となって進めるとともに、京都府やJR西日本に対し、JR舞鶴線の電化・高速化の早期実現を重ねて要望してきたところであります。府は平成7年3月に「京都府鉄道整備促進基金」として20億円を積み立てられ、その運動にこたえていただきました。幸いにも、7月の東舞鶴駅付近連続立体交差事業の高架開通式での「地元の支援を前提として舞鶴線の電化・高速化の方向づけを行った」とのJR西日本の井手社長の発言や、さきの府議会における「舞鶴線の電化・高速化事業の来年度からの工事着工を目指す」との知事発言は、地域住民にとりまして至上の喜びとするところであり、地元舞鶴市民を初め関係者一同、一日も早い事業着手を首を長くして期待しているところであります。  そんな中、11月27日には、広域交通対策特別委員会酒井委員長を先頭に、委員の方々が降雨の中、難工事と言われている白鳥トンネルの現地視察をしていただく等の行為は、地元住民に力強さを与えてくれました。つきましては、JR舞鶴線電化の事業概要や今後の見通し等について、知事の御所見をお伺いいたしておきたいと思います。  最後に、地元に関連しての問題について、質問並びに要望をいたしておきたいと思います。  まずは御礼を申し上げます。去る11月26日には、それこそ30有余年来の要望でありました舞鶴市地頭の潜没橋の由良川橋が出水時でも安心して通行できる橋として立派に完成、2組の3夫婦がおそろいで渡り初めをして祝っていただきました。その先頭を歩かれたおじいさんの2人ともが、若いときの「かけかえ運動」の先頭に立っておられた方々だっただけに、私もこの喜びの感激はひとしおでありました。綾部宮津道路の完成後は、由良川両岸を結ぶ高速道路のアクセスとして大きな役割を担うものとして期待をいたしております。  次は、同じ由良川の河口についてであります。  本年5月12日の豪雨で府道西神崎上東線が冠水して、当日午後から翌朝まで通行不能となりました。迂回路のない神崎地区は陸の孤島となったことについてであります。  この箇所は、従来から北近畿鉄道の軌道あるいは府道、由良川堤防の未着工、これらの構造から田畑との関連の総合計画がまとまらず、工事が難渋されていたところであります。「明治以来の豪雨だから」とか「河川改修に下流を忘れた罰だ」とか、いろんな意見はそれはそれとして、日常の生活道の安全確保の重要性を改めて認識させられた事故であり、地元議員としての私の不明を今さらのごとく恥じ入っているところでありますが、さて、この対応策について知事の所見を伺っておきたいと思います。  次に、舞鶴石炭火電についてであります。  昭和54年6月19日、関西電力小林庄一郎社長の「舞鶴で火力発電所を建設する方向で具体的検討に入った」との意思表示がこの問題の動機であり、以来、幾たびの経過を経てきましたが、さきの宮津火力発電所建設においての蜷川・林田2代知事のいろんな経過あるいは府漁連との交渉、地元の人々の感覚等を熟知した荒巻知事は、この問題が起きたときから「すべての問題は、地元の市長、市会の自主的判断を基本にして対処すべきである」という対応で今日まで進められてきました。ここに至って、平成8年3月12日に公有水面埋立免許を申請、9月2日には関西電力株式会社が舞鶴火力発電建設所を開設する運びに至りました。諸事万端、舞鶴市は京都府と緊密な協議を進めて今日を迎えたものと信じていますが、舞鶴火力発電所の建設が真に地元の振興に資するよう、そして地元の安全と健康な生活を守るよう協議、指導をしていただくことをお願いいたしておきたいと思います。  最後に、市内に鮮魚小売店、鮮魚加工販売店などが協力して大型共同店舗をつくりたいという考え方についてであります。  本年4月15日、京都府漁業協同組合連合会の卸売市場施設が完成し、府内水産物の水揚げ流通基地として、生産者と消費者を結ぶパイプ役ばかりでなく、丹後の海の情報発信基地としての機能を発揮できる施設として完成いたしました。過日、建設委員会の皆さん方が北部調査の折、視察していただきましたが、立派なものであります。  さて、鮮魚関係の小売店についても、一般商店の販売業者同様に、モータリゼーションや大型スーパーの進出に備えて極めて厳しい経営環境にある中から、これらの打開のために「舞鶴魚まつり」を開催して、魚食の普及・啓発に取り組む等、4年間の努力を続けてこられましたが、これらが実を結びまして、今年からは舞鶴市商工会議所の主催行事として、会頭が主催者、京都府の援助も受けながら舞鶴市民全体の「魚まつり」にまで発展してまいりました。  これらの実績と経緯を踏まえて、市内の鮮魚小売業者、鮮魚加工業、販売業者の方々が協力をされて、恒常の「魚まつり」的大型販売をすることを通じて、新しい魚販売、発信基地をとの意欲のある提携をやりたいということで計画されておるようでございますが、これらの事業についての知事の御支援を心からお願いいたして、私の代表質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 8: ◯議長小林弘明君) 荒巻知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 9: ◯知事荒巻禎一君) 山脇議員の御質問にお答え申し上げます。  まず、今後の財政運営についてでありますが、21世紀を間近に控え、少子・高齢化に対応した保健福祉施策や産業構造の変化に対応した産業施策、地球環境問題への対応、災害に強いまちづくりなど、重要課題が山積をいたしております。一方、京都府の財政状況は、活用できる基金も減少し、税収の大幅な回復も期待できないことなどから、今後も厳しい状況が続くものと考えられます。  このため、今後の財政運営に当たりましては、事務事業の見直しや経費の節減、合理化を行うことにより、財源の捻出を図りながら、歳入面におきましては府税の徴収確保に努め、地方交付税や国庫補助金などの財源確保を図りますとともに、引き続き交付税措置のある有利な起債を有効に活用していく必要があると考えております。  御承知のとおり、起債は将来に負担を残すという性格を持つ反面、例えば道路などを建設しました場合には、その公共物の価値は1年でなくなるわけではなく、後年度まで残りまして使用されるという点から、財政負担の年度間調整や世代間の公平を図ることができるというメリットがありまして、起債に適する事業につきましては、将来の財政の硬直化を招くことがないよう十分配慮しながら、今後とも適正な活用を図ってまいりたいと考えております。  自主的な地域づくりに対する財源措置等についてでございますが、ふるさと創生を契機といたしまして地方公共団体が自主的・主体的に行う単独事業に対し、地方債と地方交付税を活用した財源措置が拡充されてまいっております。このような財源措置につきましては、一般財源である地方交付税の性格を踏まえた運用が図られることは必要でございますが、府内におきましても、こうした財源措置を活用して各市町村が歴史、自然、文化などの地域資源を生かし、創意工夫にあふれた多彩な事業を展開してきているところであり、地域の活性化が図られているところでございます。  京都府といたしましても、市町村自治振興補助金や市町村振興資金を初め、各種の施策を講じ、市町村の地域づくりへの取り組みを積極的に支援いたしますとともに、地域づくりに参加されている住民の皆さんの研修・交流事業を実施するなど、自主的・主体的な地域づくりを支援してまいっているところでございます。  今後におきましても、地方単独事業に対する国の支援措置とあわせ、市町村自治振興補助金や市町村振興資金などを活用して、市町村が個性豊かな地域づくりを進められることができますよう、積極的に支援をしてまいりたいと考えております。  産業廃棄物問題についてでありますが、地域住民の皆さんの御理解を得ながら、産業廃棄物の処理施設の整備を促進し、適正な処理を確保することは、健全な産業活動を維持する上で極めて重要な課題であると認識をいたしております。  産業廃棄物処理に係る安全性や信頼性の向上については、議員御指摘のとおり、施設基準の充実強化や廃棄物処理の流れを管理できるマニフェストシステム・廃棄物管理票制度の適用拡大などの処理システムを確立することが必要であると考えております。  現在、厚生省において進められている廃棄物処理法の改正作業では、こうした点も重要な検討課題とされておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えております。  また、産業廃棄物処理業者におきましては、処理能力の向上や社会的信用力の向上につながる社団法人の設立準備を進めておられまして、京都府といたしましても今後とも十分な指導を行ってまいりたいと考えております。  道路網の整備についてでありますが、京都縦貫自動車道丹波綾部道路につきましては、綾部-和知間において建設省により来年早々にも用地交渉がなされる予定であり、和知-丹波間につきましても路線測量及び地質調査が完了したところであると伺っております。  また、綾部宮津道路につきましては、京都府において南区間の平成9年度内の供用を目指しまして、年明け早々にもトンネルの換気・照明設備工事や舗装工事に取りかかるべく準備を進めているところであります。また、北区間におきましても、南区間に続き本格的な工事に入れるよう、近く工事用進入道路の整備に着手する予定でございます。  さらに、近畿自動車道敦賀線の舞鶴西-東間につきましては、平成9年度内の供用を目指しまして、日本道路公団により鋭意工事が進められているところでございます。今後とも、早期供用に向け努力をしてまいりたいと考えております。  舞鶴港整備の基本方針についてでありますが、このたび港湾計画を10年ぶりに全面改定することといたしまして、去る11月29日に中央港湾審議会の答申をいただきまして、近く運輸省の承認をいただける予定でございます。その中では、港湾本来の物流機能の強化を図ることはもとより、府民の方々に親しんでいただける港づくりとして、東港・西港ともに市街地と一体となったアメニティー豊かなウォーターフロントの整備を進めることといたしております。環日本海時代を迎え、近畿圏・京阪神の日本海側の門戸港として、国際的な交流・貿易拠点として、今後とも港湾施設整備の一層の促進に努めてまいりたいと考えております。  日本海側最大級の水深マイナス14mの岸壁を持つ和田埠頭の整備につきましては、運輸省と一体となって平成7年度から本格的に工事に着手いたしまして、21世紀初頭の一部供用を目指し工事の進捗を図っているところでございます。  また、平・大波下埠頭につきましては、土地造成について概成いたしたところでございまして、今後地元の皆様の御協力を得て、船舶の係留施設と臨港道路の整備を早急に進めることといたしておりますので、今後とも御支援をよろしくお願い申し上げます。  舞鶴港の振興についてでありますが、京都府におきましては環日本海時代を見据えて舞鶴港を近畿圏における日本海側の門戸港として位置づけ、その振興を図っているところでございます。そのため、京都府、地元舞鶴市や経済界で組織する「舞鶴港振興会」を中心に、中国、ロシア等日本海対岸諸国へのミッション派遣などを行い、経済交流の推進、輸入貨物の確保に努めますとともに、京阪神地域の企業を対象に集荷要請を行うなど、積極的なポートセールス活動を展開しているところであります。  また、舞鶴港FAZ(輸入促進地域)につきましては、株式会社舞鶴21において来年秋の開業を目指して施設建設と並行して貿易関連の商社や機関等を中心に、支援センター棟への入居者の募集、誘致を行っているところでございます。さらに、FAZの機能を一層高めるために、保税扱いで輸入貨物の保管、展示などができる「総合保税地域」の適用を強く国に要望をしているところでございます。  今後とも、高速道路網の整備や周辺部における工業立地基盤の拡充など、舞鶴港を取り巻く好条件を積極的にPRいたしますとともに、FAZ事業の推進により舞鶴港貿易の一層の拡大に努めてまいりたいと考えております。  JR舞鶴線の電化・高速化に関する整備概要についてでありますが、東舞鶴駅から綾部駅までの区間において、まず1つとして、電車線、架線並びに電化柱などの建設が26.4kmございます。そして、変電所の新設が必要でございます。また、6カ所のトンネルの幅を広げることが必要でございます。真倉駅等の分岐機器の改良が必要であり、また各駅ホームのかさ上げが必要、このようなことなどが計画されているところであります。  JR西日本では、既にトンネルなどの詳細調査を終えられまして、現在工事手法の検討や事業費の算出などの作業が進められているところであります。また、これと並行して、地元舞鶴市、綾部市におきましても、まちづくりの一環としての西舞鶴駅、綾部駅の改築や鉄道利用の促進をそれぞれ積極的に進められているところでございます。  京都府といたしましても、今後とも、舞鶴市や綾部市とも連携いたしまして、舞鶴線の電化・高速化事業の平成9年度内の工事着工を目指しまして、JR西日本や関係機関との調整協議を積極的に進めるなど、強い決意をもって努力してまいりたいと考えておりますので、山脇議員におかれましても、有力な地元議員のお一人として、ぜひ御理解と御支援をお願い申し上げる次第であります。  最後に、府道西神崎上東線の改良についてでありますが、既に測量及び土質調査を終え、現在関連する圃場整備事業や一級河川由良川との計画調整を図るべく、建設省、舞鶴市など関係機関と協議を進めているところであります。  今後とも、早期に整備できますよう取り組んでまいりたいと考えております。 10: ◯議長小林弘明君) この際、暫時休憩いたします。    午後2時36分 休憩         ───────────────────    午後3時00分 再開 11: ◯議長小林弘明君) 休憩前に引き続き会議を行います。  次に、林田洋君に発言を許します。林田洋君。    〔林田洋君登壇〕(拍手) 12: ◯林田洋君 自由民主党の林田洋でございます。私は、自由民主党府議会議員団を代表して、荒巻知事並びに関係理事者に対しまして、数点にわたり御質問したいと考えるのでございますが、荒巻知事におかれましては、地方自治に対する情熱と高い見識、確固たる信念のもとで、 260万府民が安らかな気持ちで毎日が送れるよう、時には大局に立ち、時には細やかな配慮をもち京都府政を執行されており、京都府政について府民から大きな信頼を寄せられておりますことに対しまして、自由民主党府議会議員団を代表して、深く感謝と敬意を表するものでございます。非常に厳しい行財政の中ではありますが、府民からの期待も大きい京都府政のかじ取り役として、御活躍を期待するものでございます。  それでは質問に入らせていただきます。  まず、行財政改革についての御質問をいたします。  知事も御承知のとおり、さきの衆議院議員総選挙におきましては、行政改革、財政構造改革、さらには経済構造の改革や景気対策などが大きな政策の争点になったところであります。総選挙の結果誕生いたしました第2次橋本内閣におきまして、総理は「政治・行政経済社会変革と創造」をその使命と位置づけ、これらの課題を優先して取り組む決意を明らかにされたのでありますが、これらの国政上の重要課題に関連して2~3点、地方自治のエキスパートであります荒巻知事の御所見を承りたいと存じます。  国におきましては、先月、首相直属の機関であります「行政改革会議」が設置されまして、複雑多岐にわたる行政課題に柔軟かつ的確に対応するため、行政機関の再編・統合を審議し、中央省庁の半数程度への再編などを1年後を目途に成案を取りまとめることとし、西暦2001年1月1日に移行開始することを目標に取り組むと聞いております。この省庁再編の方針は、最小の執行体制で最大の施策効果を追求するという考え方に立脚するものであり、国、地方を通じての基本的な考えとなるものであります。私は、この行政改革の趣旨や意義を広く国民に理解していただくこと、また理解を求めるための努力が重要と考えるのであります。  京都府におかれましては、荒巻知事の強いリーダーシップのもとで、これまで本庁の部制の抜本的な再編などに取り組んでこられたところでありますが、今後、本府としてどのように行政改革を推進されようとしているのか、御所見を賜りたいと存じます。  第2に、財政構造改革についてであります。  国の財政制度審議会においては、今月下旬にも財政再建の目標や歳出削減の具体策を取りまとめる予定と聞いておりますが、去る7月の中間報告においては、官民の役割分担を見直して政府の役割を小さくし、あらゆる分野で歳出を抑制すべきとの認識に立つとされているところであります。このことを踏まえ、第2次橋本政権においては、来年度を「財政構造改革元年」と位置づけ、財政再建に向けて保護的な既得権や現状維持の考えを排するとともに、官邸主導の予算編成を進め、徹底した見直しを検討していくとされているところであります。  一方、住民に密着した行政を担う地方公共団体においては、財政の健全化を図りつつも、住民サービスの低下を来さず、むしろ向上を図っていくことが求められているところであります。本府におきましても、4年連続の府税収入の減収など極めて厳しい財政状況の中で、新たな行政課題や必要な行政需要に積極的に対応していくためには、施策そのものの見直しなどが重要であると考えるところであります。  戦後50年を経た今、社会経済情勢や生活環境水準も大きく変容を遂げ、かつ現在も激しく情勢変化が進む中、今こそ時代の変化を的確にとらえたタイムリーで効果的な施策の展開が求められており、最適な施策の選択が必要と考えるのであります。  こうしたことは、行政改革の取り組みとも連携しつつ実行していくことが必要であると考えられますが、今後、京都府の財政面において、どのように施策を見直し、施策選択を行っていこうとされるのか、御所見を賜りたいと存じます。  第3に、地方分権の推進についてであります。  地方に、権限と財源を移譲するとともに、国の過度の関与や規制、縦割り行政の弊害を是正していくことは、行政執行の効率化に大きく寄与するものであり、行政改革と地方分権の推進は車の両輪として推進していく必要があると考えるところであります。  国の地方分権推進委員会においては、去る10月に機関委任事務の廃止に関する具体案が取りまとめられ、年末の勧告に向けて鋭意取り組みが進められ、来春には税財源問題等を中心に第2次の勧告がされる予定と伺っており、より実効ある行政改革を進めるためにも地方分権の実現が必要であります。  京都府においては、これまでから提言の取りまとめや「府民シンポジウム」の開催などに積極的な取り組みを進めておられますが、今後、このような国の地方分権推進委員会の勧告や地方分権推進計画の策定などが予定されている中で、引き続き国への働きかけや府民に対して理解を深める啓発の積極的な取り組みが求められていると考えますが、荒巻知事の御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、介護保険制度についてお伺いいたします。  現在、我が国は、かつて類を見ないような急速な人口の高齢化が進行しております。昨年実施されました国勢調査の結果によりますと、65歳以上人口の占める割合は全国で14.8%、京都府におきましても14.7%であり、私の地元であります上京区においては20%以上、また京都府の中北部では30%以上となっておりまして、超高齢化社会が既に現実のものとなっている地域もあるわけでございます。また、比較的高齢化率の低い南部地域におきましても、今後、いわゆる私たち「団塊の世代」が高齢者となっていく中で、急速な高齢化が進んでまいるものと考えられます。人間みんなが、心身ともに健やかな状態で長寿を迎えられることは、社会として非常に喜ばしいことでありますけれども、年をとってまいりますと、身体的にもいろいろな障害が出てまいります。このような状況を考えて見ますと、府内のどの市町村におきましても、高齢化問題、とりわけ介護の問題は緊急かつ重要な課題であると考えるものでございます。  さて、今、国においては、この問題を「福祉の構造改革」の第一歩として位置づけられ、今臨時国会に「介護保険法案」が提出されたのであります。この制度の内容を見てみますと、現行の介護制度が「福祉」と「医療」の2つの制度からなっており、「サービスの内容」「利用者の負担」等がそれぞれ異なっているという問題点の整理や今後のサービスの受け手の増加を見通し、抜本的な制度の再編を行い、利用しやすく、公平で効率的な「介護支援システム」を構築するとされています。  そこで、今回の介護保険制度の導入について、京都府の果たす役割をも含めて、荒巻知事はどのようにお考えか、基本的な考えをお聞かせいただきたいと存じます。
     また、介護保険制度の導入に当たって私が最も懸念いたしますのが、介護サービス基盤の問題であります。  介護保険制度案によりますと、平成12年度の保険料水準は平成7年度の価格で一月約 2,400円であり、保険料を支払えば、介護が必要となったときに施設や在宅で介護サービスが受けられるとされています。しかし、実際に介護サービス基盤が整備されていなければ「保険ありてサービスなし」という事態が生じるわけでありまして、ニーズに対応できる十分な基盤整備が求められるわけであります。  かつては、住まいを購入される際には、職住接近、教育機関や文化施設などが大きな判断要素とされてきました。今、新たな大きな要素として、福祉医療水準という点が注目されるようになっているのであります。どこに住んでいても、必要で公平なサービスの提供が受けられる。府民はまさにそのことを望み、心配しているのであります。  現在、京都府におかれても「高齢者保健福祉計画」に基づき、介護サービス基盤整備が行われているところですが、その整備状況と今後の介護保険導入を視野に入れ、どのように基盤整備を進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。  あわせて、介護保険制度導入に当たっては、サービスの量の確保はもとより、サービスに直接携わる方々の資質の向上やお年寄り本人や御家族のさまざまな生活実態に応じた柔軟なサービスの提供が求められ、内容の質の向上が必要と考えるのでありますが、利用者の側に立ったサービスの確保に向けての、府としての取り組みについてどのようにお考えか、知事の御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、中小企業の活性化対策についてお伺いいたします。  政府は11月の月例経済報告におきまして「景気は回復の動きを続けている。そのテンポは緩やかではあるものの、民間需要は堅調さを増している」としており、従来と比べますと、わかりにくいが半歩前進とも言える景気判断が示されたところであります。しかしながら、今回の景気回復は、昨年9月の経済対策による公共投資と、超低金利・金融緩和を背景とする民間住宅投資の拡大によって下支えされたものであり、今後の見通しは必ずしも楽観できるものではないと、私は推測するものであります。  特に、ここに来て公共投資の効果が徐々に薄らぎつつあり、また活発な増産と設備投資により景気回復局面を先導してまいりました半導体関連分野が在庫調整に差しかかりつつあると聞き及んでおります。個人消費につきましても、本年の夏場に発生したO-157の影響がいまだに残る中で、消費活動回復の足取りはまだまだ力強さに欠ける状況にあると考えられます。雇用情勢につきましても、一時期に比べますと持ち直しつつあるというものの、依然として失業率が3%を超える水準にあり、消費の先行きに暗い影を投げかけている現状にあります。  このように、まだまだ不透明とも言える経済情勢のもとで、一日も早く京都経済の活力を呼び戻し、本格的な景気回復軌道に乗せていくためには、その活力の源泉とも言える中小企業の活発な活動、活性化を図ることが重要と考えます。  このような観点から私は、伝統産業の振興、商店街の振興、中小企業の新たな事業展開に対する支援等につきましてお伺いいたしたいと存じます。  まず、私の地元であります西陣を初めとする伝統産業の振興についてお伺いいたします。  近年、和装業界におきましては、生活様式の変化に起因する、いわゆる「着物離れ」が進行し、需要の低迷が続いております。平成7年の西陣織の出荷額は、過去最高でありました平成3年に比べますと、約60%に落ち込んでおります。京友禅の生産量に至っては、昭和46年のピーク時の約15%にまで落ち込んでおります。また、京焼、清水焼など伝統工芸産業の分野におきましても需要が低迷し、全国の他産地との競争が激化する中で、生産の縮小、担い手の高齢化などが進んでまいっております。京都経済の活性化のためには、基幹産業とも言える分業に成り立つ和装を初めとする伝統産業の振興が不可欠であると考えるのでございます。  こうした中で、本年、京都府の積極的な御支援のもとで、業界、産地が一丸となって取り組まれた「きものサミット」や東京での「京都西陣織展」、さらには昨年に続く「京都・西陣夢まつり」などは、21世紀に向けて伝統産業が進み行く方向を示す重要な取り組みであったと考えるのでございます。これらの取り組みの成果のもとで、今後の京都府の伝統産業の振興策につきまして、どうあるべきとお考えか、荒巻知事の御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、商店街の振興についてお伺いいたします。  今、府内各地の商店街を初め中小の小売商業は、大型店の進出への対応、後継者不足などによりまして空き店舗が増加し、まさに地域のコミュニティータウンとしての維持管理に苦慮している状況にあります。さらに、コンビニエンスストアやディスカウントショップ、通信販売などに象徴される流通形態の多様化などの構造的要因に加えて、不透明な景気動向を反映した個人消費の低迷によりまして、商店街はこれまでにも増して厳しい経営環境下に置かれているのであります。  地域商店街は私が申し上げるまでもなく、それぞれの地域の経済活動の中心となっているばかりでなく、その地域で生活する方々のふれあいとコミュニティーを醸成する場として、まさに物心両面にわたる役割を果たしていると考えるものでございます。個人生活の多様化や物流の大きな変革などに対して、器用に対応できない地域商店街などが地域の人々とともに反映していくために、今京都府としてどのような行政施策展開が必要とお考えか、御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、中小企業の新たな事業展開に対する支援方策についてお伺いいたします。  昨今、中小企業の方々に「景気はどうですか」とお尋ねいたしますと、一様に「受注単価や納期が大変厳しくなっている」という返事が返ってまいります。同時によく耳にしますのが「これからはコストダウンによる体質強化はもちろんだが、それだけでなく、あわせて独自技術の開発や自社製品の開発を重視していかないと取り残される。満足できる単価で販売できない」という言葉であります。  私もこの9月に北米視察に参加させていただきましたが、公式行事の合間に地元中小企業のニューヨーク販売所を訪問いたしました。そこの所長さんによりますと「もし、この販売所で他社と同じような品物を売っていたら、今の販売所はなかったでしょうね」と言われた言葉が印象的でありました。つまり、中小企業の中から、技術の高度化や新分野の開拓を通じて、この厳しい経済環境を乗り越えようとする、たくましい動きが出てきているのであります。私は、中小企業のこのような動きを、行政としても積極的に支援していくことが重要であると考えるものであります。  今、いわばブームともなっております「ベンチャー」という言葉を用いますと、米国のコンピューター・ソフト会社「マイクロソフト社」を興したビル・ゲイツのような大学生などが「業を起こす」、つまり「起業家」ばかりを連想しがちであります。しかし、我が国においては、やはり基盤となるべき「技術力」や「経営のノウハウ」を持ち、しかも時代の流れに合わせて敏感で柔軟な対応が可能な中小企業こそ、最も期待できる「ベンチャー企業」であると言えるのではないかと考えるものであります。  京都はこれまで数多くの「ハイテク・ベンチャー企業」を生み出し、世界的な企業へと成長させてきた風土、土壌、実績を有する「ベンチャーの都」であります。全国有数の大学の集積を持ち、近年では、関西文化学術研究都市におきまして世界的な水準の研究機関が設置され、新しい産業分野を生み出すためのすぐれた条件が備わっているのであります。こうした条件を生かし、京都府として中小企業のベンチャー企業としての新たな事業展開とその飛躍を強力に支援していく必要があると考えますが、荒巻知事の御所見をお伺いしたいと存じます。  次に、京(みやこ)の川づくり事業についてお伺いいたします。  京の川づくり事業につきましては、これまでから本会議においてたびたび取り上げられているところでございますが、この事業は、荒巻知事も常日ごろからお話しになっておられますが、「明治の疎水」に匹敵するような「平成の川づくり」をという考え方に立ち、平安建都1200年記念事業として積極的に取り組まれてきたのでございます。  京都市域は、京都市が政令指定都市ということから、京都府の土木公共事業及び環境整備事業が市民の立場からなかなか見えにくいということもありまして、京都市域選出議員の私といたしましても、京の川づくり事業に大きな期待を寄せているものであります。  さて、この京の川づくり事業についてでございますが、鴨川の「みそそぎ川」や山科川ではホタルや魚などの生き物に配慮されたり、高野川や岩倉川などにおいては散策路や親水広場など水辺に親しめる施設が整備され、京都市内の各所において京の川づくりが着々と進められております。  とりわけ荒巻知事は鴨川の「花の回廊」整備には熱意を込められ、平成4年度から府市協調事業として進めてこられたわけでございます。整備済みの区間は「花の回廊」の名にふさわしく、しだれ桜、もみじ、柳、ユキヤナギ、ヤマブキ、ツツジなど、四季折々の花が楽しめ、散策する人々に鴨川の川面と相まってやさしい空間をつくり出しているのであります。この整備もいよいよ四条から三条までを残すのみとなり、平成10年度には完成の運びと伺っております。現在進められております整備工事には「京の川づくり・京都府」の看板が掲げられ、京都府の事業であるということを知っていただけるようPRされたり、道路側の防護さくには竹を使用するなど「京都らしさ」への配慮がされており、荒巻知事のきめ細やかな御配慮に敬意を表する次第でございます。  さて、このように整備が着々と進められているのではございますが、京都市内には41もの河川があり、その整備には息の長い取り組みが必要であることは十分理解しているつもりであります。しかし、この事業に対する府・市民の期待は非常に大きいものがございます。一日も早い整備をお願いするものでございます。  そこで荒巻知事にお伺いいたしますが、現在までの京の川づくり事業の進捗事業、整備状況、あわせて今後の見通しにつきまして、お聞かせいただきたいと存じます。  さらに、今後の整備の中でも、特に今出川から仁和寺街道までの間の天神川、いわゆる紙屋川についてでありますが、この河川は、御承知のとおり、地域に密着した川として人々に愛され、親しまれてまいりました。しかし、近年は三面のコンクリート張りの河川となり、加えて道路も狭いところから、いつしか地域の人々を遠ざける結果となったのでございます。  一方、今、地元の大将軍商店街では、先ほど私が御質問させていただいたとおり、非常に厳しい諸環境下にあります。地域商店街の振興に当たっては、商工サイドでの商業施設の整備も必要であろうと考えます。しかし、私はその商店街の存在する地域特性や文化を活用し、荒巻知事が常に申しておられます「そこでしかありえない」「そこにのみある」ものを追求していくことが必要と考えております。こうした地元の活性化のために必要な街づくりの一環として「紙屋川親水公園空間の整備」が強く望まれているのでございます。  天神川は「京の川づくりプラン」においては「右京・おもかげの川」として水辺の散策が楽しめるよう整備していくこととされているようでございますが、早期の事業着手をお願いするものでございます。事業の実施に当たりましては、道路管理者であります京都市と協調し取り組む必要があろうかと存じますが、どのようにお考えか、荒巻知事の御所見を賜りたいと存じます。  次に、国際化の推進についてお伺いいたします。  初めに、海外との友好提携についてでございますが、京都府では、これまで中国陝西省、インドネシアのジョクジャカルタ特別区、米国のオクラホマ州、ロシア連邦のレニングラード州の4地域と友好提携を結び、農業、医学、教育行政実務などの分野で幅広い交流を実施され、多くの成果を上げられ、友好提携先からも感謝されていると伺っております。  私も、昨年、中国陝西省を訪れた際、ガイドさんから「京都で勉強させていただきました。大変感謝しています」との言葉をいただきました。そのような地道な交流が国際理解、友好、親善に大きな役割を果たしているのだと実感いたしたところでございます。  また、英国のスコットランド・旧ロージアン県とは、平成6年、平安建都1200年の際に「友好宣言」がなされました。これは、ロージアン県が、スコットランドの首都エディンバラを擁する歴史と伝統の地であり、日本のふるさと京都府の友好提携先としてふさわしいと考えられたことによると思うのであります。しかし、ロージアン県が2年後の平成8年に地方制度の改正を控えていたため、その推移を見守ることとし、友好提携の調印までは行わず、将来の友好提携の基盤となる友好宣言がなされたとお伺いしております。その後、本年4月には新しい地方制度に移行されたとのことでございますが、今後、ロージアン県との友好宣言の精神をどのように生かして交流を進めていかれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。  2点目は、財団法人京都府国際センターについてでございます。  この国際センターにつきましては、府域の国際化を総合的に推進していくための指針として、昨年4月に策定されました「京都府国際化プラン」に基づき、府民を初め、市町村、民間国際活動団体、教育機関、企業などとの連携、協力を図り、地域の国際化を進めるための中核的な組織として、会長には荒巻知事、理事長には西島前京都大学総長をお迎えし、本年7月1日に設立されたところであります。  その活動内容は、府民参加による国際理解と民間国際活動の促進を図るために、各種の啓発活動、情報の収集や提供、国内外の支援活動の展開などがうたわれているところであり、まさに今日的な新しい国際活動に的確にこたえたものであり、大きな期待を寄せるものであり、その役割の充実が求められるものと考えます。  現在、当センターは府庁内にあり、本格的な活動は来年完成予定の新京都駅ビルに移転されてからと考えるのでございますが、今日までの事業の取り組みの状況、また移転後の本格的な事業展開につきまして、どのようにお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、来年京都府で開催されます全国高等学校総合体育大会、いわゆる京都総体についてお伺いいたします。  このたびの京都総体でありますが、申し上げるまでもなく、高校生がその中心となる大会でありますが、京都府におかれては広く各界に呼びかけられ、平成5年にその準備委員会を設立し、第1回総会におきまして、大会の基本方針として、この大会を通じ、広く府民の体育・スポーツへの理解、振興、さらには府や市町村の活力ある発展、あすの21世紀を支える高校生を初めとする青少年の健全な育成などがうたわれ、府民の大会に寄せる期待と願いは大きく膨らんでいると考えるのであります。  また、今日までその方針の確実な実現を目指して競技を担当されます35の会場地を初め、44すべての市町村や京都府高等学校体育連盟などの競技団体や学校関係者におかれましては、府民総参加のもと、着々と準備を進めてこられたと推察するところでございます。そのあらわれとして、去る10月5日を中心に、京都総体 300日前のイベントとして、京都市内を初め、数多くの会場地でそれぞれの趣向を凝らした事業が展開され、清水寺や平安神宮、四条河原町、さらには各会場地の農協やスーパー、駅前等、観光客や多くの人出でにぎわう府内10数カ所で府高等学校芸術文化連盟の吹奏楽部門の参加のもとで、京都総体PRに取り組まれるなど、府内全域への広まりの様子がうかがえ、各方面での力強い取り組みを感じているのでございます。  そこでお伺いいたしますが、21世紀を担う青少年の心豊かで創造性あふれる活動の推進と先人が築き上げてきた歴史や伝統の上に、真の豊かさと均衡ある発展を目指す、ここ京都にふさわしい大会として、また全国からの来会者を温かくお迎えし、質実にして実り多い大会を目指すには、多くの知恵と行動が重要であると考えるのであります。大会のスタートであります総合開会式についてでありますが、秒読みともなった今日、若人のスポーツの祭典として、全国からお越しになる選手諸君、役員、応援団の皆様方の心に残る京都としてふさわしい取り組みや準備はどのようになっているのか、その状況についてお伺いしたいと存じます。  次に、宿泊、輸送の関係についてお伺いいたします。  京都総体では、全国からお越しになる選手、役員の方々は京都国体を大きく上回る約5万 7,000人が予想されると伺っております。国体のときは、宿舎の不足分は一般家庭にお世話になる「民泊」で対応されたわけですが、京都総体では応援団も含め、十分なのか。さらに、総合開会式が西京極競技場で8月1日の金曜日の午前開催ということでありますが、夏場でもあり、参加者や観客の輸送交通対策につきまして心配しておりますが、これらにつきましてどのような対策をお考えか、お伺いいたします。  加えて、このような大きな大会は、回を重ね、年を追うごとに多くの要素が加わりまして、運営経費が膨らんでいく傾向にあると伺っております。京都で開催されるこの機会に、高校総体は高校教育の一環としての大会であるとの原点に立ち返る必要があると考えるのでありますが、どのような工夫を考えておられるのか、お伺いいたします。  また、この大会は、私たち京都府民にとりまして、全府民型のしかも久々の全国規模の行事であります。大会の開催基本方針にうたわれておりますことの確実な実現はもちろんのこと、この大会を通じまして、全国に向けた京都府の発信や提案ができますよう、さらに大会が一過性のイベントに終わることなく、実施後におきましても、学校における体育・文化芸術活動の振興などが十分図られますよう要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 13: ◯議長小林弘明君) 荒巻知事。    〔知事荒巻禎一君登壇〕 14: ◯知事荒巻禎一君) 林田議員には会派を代表されまして、温かい激励を賜りまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  それでは御質問にお答え申し上げます。  まず、行政改革についてでありますが、厳しい財政状況が続く中、府民の期待と信頼にこたえ得る効率的で効果的な行政運営が強く求められているところでございます。このため京都府では、行政改革の取り組みとして、昨年度に38年ぶりに本庁部制を見直しまして、急速に進みます高齢化社会時代行政の課題に的確に対応するために、保健・医療部門と福祉部門を統合することも含めまして部局の再編を行いまして、その結果、3部局の削減を行ったほか、平成7・8年度の2年間で京都府職員約3万 3,500人の中、 430名を実質減員し、さらには外郭団体の見直しにより11の団体を統廃合するなど、行政運営全般にわたる改革に、政府に先立ち積極的に取り組んできているところでございます。今後は、府民生活への影響や地方分権の動向にも留意しながら、地方機関の見直しに順次取り組みますとともに、これからの地方分権時代に向けて京都府が総合的な政策主体としてより一層力を発揮していけるよう、組織の活性化や職員の資質向上に努めてまいりたいと考えております。  行政改革と連携した財政運営についてでありますが、本府を取り巻く財政環境は、今後も大幅な府税の回復が期待できないことや公債費の増嵩が予想されることなどにより、厳しい状況が続くものと考えられますが、府民要望に的確にこたえていくためには、行政改革を進めますとともに既存施策の見直しを行いながら、限られた財源の効率的、重点的配分を行っていくことが必要であると認識をいたしております。  時代の流れといたしましては、高齢化あるいは少子化というものの進行にどう対応するか、あるいは国際化等による産業構造の変化にどう対応するかというようなことが当面大きな課題となると思います。しかしながら、地方の自治体の仕事はすべて身近な生活に直結する仕事が大半でございますので、その中で急激な変化を起こすことによって混乱が生じないよう、あるいはどれもが手が抜けないような仕事も多いということの中で、大変苦労するわけでございますけれども、十分来年度の予算編成に当たりましては、既存施策全般にわたる点検を一層進めることとし、「京都府新しい行政推進大綱」も踏まえながら、各事業の目的、効果、必要性などにつきまして、徹底した検討を加えますとともに、経費の一層の節減合理化やスクラップ・アンド・ビルドの厳守に努めてまいりたいと存じております。  このようにして財源の捻出を図るとともに、一般歳入の確保に努めながら、府民の期待にこたえられますよう第4次京都府総合開発計画の仕上げに向けまして、また私がかねて申しております公平・公正、安心・安全な京都府づくりに向けまして、積極的に取り組んでまいる所存でございます。  地方分権の推進についてでありますが、議員御指摘のとおり、地方分権は今日までの肥大化した中央集権的な行政システムを改革し、地域の実情に即した効率的な行政システムを構築していく上で、行政改革とともに大変重要な課題であると認識をいたしております。  かねてから申し上げておりますように、地方分権の本来の目的は、地域の住民の方々の思いや願いが的確かつ迅速に行政に反映され実現されることにあると考えておりますので、新聞紙面やシンポジウムなどを通して、現在の中央集権的な縦割り行政の弊害などの具体例を理解していただくなど、今後とも地方分権の実現が住民の方々のために必要であることを広く訴えてまいりたいと存じております。また、地域の特性や個性が生かされる地域社会を創造するためには、実効ある地方行財政システムの構築が不可欠でありますので、国の地方分権推進委員会においては、さきに示された中間報告から後退することのない勧告をされますとともに、政府においてもこれを尊重した推進計画が取りまとめられるよう、全国知事会等を通じまして強く訴えてまいりたいと存じております。  介護保険制度についてでありますが、寝たきりや痴呆性の高齢者の急速な増加が見込まれる中で、介護の長期化や重度化、あるいは家族機能の変化により介護に対する社会的な支援システムを確立することが求められているところであります。こうした中で、国においては去る11月29日、介護保険法案を国会に提出されたところでございます。介護保険制度は来るべき本格的な高齢社会の介護ニーズにこたえるものとして導入が必要であり、京都府といたしましても、広域的団体として市町村を支援するためにサービス基盤の整備や業務の円滑な運営について必要な役割を担うべきものであると考えております。  次に、介護保険導入のための基盤整備につきましては、平成7年度末現在、特別養護老人ホームについては目標の約80%、ホームヘルパーは約60%などとなっております。また、介護保険法案においては、介護基盤の計画的整備のために国は基本指針を、都道府県は介護保険事業支援計画を、市町村は介護保険事業計画を策定することとされております。京都府といたしましては、こうした動向も注視しながら、当面は高齢者保健福祉計画の早期達成に全力を挙げてまいりたいと考えております。また、サービス基盤の整備に当たりましては、量とともに質の充実も重要であると考えております。このため、介護に関するマンパワーにつきましては、各種の研修などを実施し、資質の向上に努めますとともに、在宅サービスの提供につきましても、早朝、夜間や緊急時の対応などの取り組みをさらに拡大していく中で、弾力的なサービスが提供されるよう体制の整備に努めているところでございます。今後とも、市町村と一層連携を深め、介護保険制度を視野に入れた取り組みに努めてまいりたいと考えております。  伝統産業の振興についてでありますが、西陣織や丹後ちりめん、京友禅、京焼、清水焼など、京の伝統産業の活性化のためにはそのすばらしさをより多くの消費者に知っていただくとともに、消費者ニーズを十分に取り入れた商品づくりを行うことが極めて重要であると考えております。そのため京都府といたしましては、去る10月に開催されました「京都・西陣夢まつり」を初め、和装振興のための一連の取り組みや、佐賀県で開催された「世界炎の博覧会」などでの京焼き、清水焼のPR事業などを通じて、産地、業界の需要開拓や新商品開発に対する取り組みを強化していくために、できる限りの支援を行ってきているところであります。また、京都伝統工芸専門学校などへの支援を通じまして、伝統産業の後継者育成にも努めているところであります。今後とも、伝統産業の活性化を図りますために、産地や業界の創意と熱意にあふれる各種の取り組みに対しまして、引き続き一層積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。  商店街の振興についてでありますが、商店街を取り巻く環境が大きく変化する中で、快適に買い物ができ、親しみやすい雰囲気やきめ細かなサービス、個性的な店舗など、魅力にあふれた商店街づくりがますます重要になってまいっております。このため京都府といたしましては、これまでから商店街のアーケード、カラー舗装、駐車場などハード面の整備とともに、イベントの開催などソフト面についてもできる限りの支援を行っているところであります。その結果、最近の事例では、地域情報の発信拠点としてのコミュニティーホール・大将軍商店街や、環境にもやさしいソーラーシステムつきアーケード・伏見大手筋商店街などの特色ある商店街施設の整備や、さらには空き店舗を活用したにぎわい創出のための各種イベントの開催など、地域に根差した取り組みが進められております。今後とも各種の助成制度を効果的に活用することにより、魅力ある商店街づくりに対しまして、引き続き積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。  ベンチャー企業の育成支援についてでありますが、中小企業が独自の技術力やノウハウを生かし新たな事業展開を図ることは、京都経済の活性化にとって極めて重要であると考えております。このため京都府といたしましては、京都産業技術振興構想に基づきまして、独自に情報提供や経営・技術指導、アドバイザーの派遣などの取り組みを進めますとともに、いわゆる中小企業創造活動促進法に基づいて、全国的にも高水準の51企業を認定いたしまして──これは平成8年11月末現在の知事認定でございます。これを認定しまして、技術開発への助成や低利融資などによる支援を行っているところであります。また、本年度10億円の予算で創設いたしました「京都ベンチャー創出支援事業」につきましても、実施主体である財団法人京都産業技術振興財団において医療用電子カルテ装置の開発など、5件の投資先企業が去る11月に決定されたところでございます。さらに、京都府中小企業総合センターを拠点に学研都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR)との3次元デジタルデザインの共同研究を初め、京都産業活性化フェアの開催など、研究機関や大学と中小企業の共同研究にも取り組んでおりまして、今後ともこのような取り組みを一層進め、京都にふさわしい新産業の育成につなげてまいりたいと考えております。  京(みやこ)の川づくり事業についてでありますが、平成5年度に策定いたしました京の川づくりプランを基本に、地元の方々の御意見や御要望をお聞きしながら、順次整備を進めてきているところであります。これまでに鴨川の「花の回廊」を初め、岩倉川での植物や生き物に配慮した護岸整備、また有栖川等における散策路整備など、市内41河川のうち16河川で取り組んできておりまして、水辺の散策など身近な河川として親しんでいただいております。本年度からは洛西の小畑川につきましても、周辺の環境と調和した緑豊かな河川となるよう整備に着手することといたしておりまして、その他の河川につきましても、市域全般にわたって将来「明治の疎水、平成の川づくり」と呼ばれるような整備を治水対策にも十分留意しながら進めていきたいと考えております。  天神川につきましては、京の川づくりプランの中で「右京・おもかげの川」として、川沿いを水辺と市街地を結ぶ散策路と位置づけまして整備を図ることといたしております。現在、平成6年度に大将軍商店街振興組合において策定されました商店街活性化整備計画も踏まえながら、実施プランにつきまして地元や京都市など関係機関との協議を進めておりまして、この協議が整えばできるだけ早期に整備に着手してまいりたいと考えております。  次に、国際化の推進についてでありますが、京都府は平成6年11月に英国スコットランドのロージアン県と友好宣言を行い、民間も含めさまざまな交流を進めてきたところでございます。議員御指摘のとおり、英国では本年4月に二層制であった地方団体を一層制とする地方制度の大改正がございましたが、旧ロージアン県のミリガン議長、いわゆる知事に当たる方でございますが、ミリガン議長などの幹部は引き続きエディンバラ市カウンシルにおいて同様の職務につかれておりますので、京都府といたしましては、これまでの交流の実績を踏まえながら友好宣言の精神を継承いたしまして、今後ともエディンバラ市カウンシルとの友好関係を発展させていきたいと考えております。一方、エディンバラ市カウンシル側からも「京都府との友好関係は有意義であり、ぜひ継続発展させ、近い将来正式な友好提携を行いたい」との意向が示されておりますので、私といたしましては、府議会の御理解を得て、同カウンシルとの友好提携ができるだけ早期に実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。  最後に、京都府国際センターにつきましては、去る7月1日の設立以来、国際協力フォーラムや国際理解講座の開催、通訳、ホームステイなどのボランティア登録、パソコン通信による情報提供、外国語による生活相談など各種の事業を展開してきたところでありまして、今後とも市町村や民間団体との連携を一層強めながら事業の着実な推進を図ってまいりたいと考えております。また、来年度には新京都駅ビルに移転いたしまして、活動の拠点が確保できることとなりますので、ボランティアルームや研修室、情報提供コーナーなど新しい施設を活用した事業を積極的に展開いたしますとともに、府民や各種団体、また外国籍の人々にも気軽に利用していただき、京都府の国際化の一層の推進に貢献できるセンターにしてまいりたいと考えております。 15: ◯議長小林弘明君) 安原道夫教育長。    〔教育長安原道夫君登壇〕 16: ◯教育長安原道夫君) 林田議員の御質問にお答えをいたします。  京都総体についてでありますが、まず総合開会式は大会の特色を全国に発信する大きな場でもありますので、京都らしさをふんだんに取り入れていきたいと考えております。  京都総体から初めて取り組むものといたしましては、1つには小中学生の参加であります。高校生を中心としながらも、ジュニア層との一体化を目指し、小学生は鼓隊による選手団の先導を、中学生は府内全市町村の旗を掲げての入場行進を行うことといたしております。2つには、障害のある生徒の社会参加と自立、また国際交流などの観点から府立盲学校高等部が合唱へ参加したり、京都韓国中・高等学校と京都朝鮮中・高級学校がマスゲームへ参加することとなっております。3つには、入場行進をした選手の皆さんにも公開演技をグラウンドで一緒に見ていただき、選手、出演者、観客などの一体感あふれる開会式にしてまいりたいと考えております。今後とも、さわやかな中に感動を呼ぶ京都らしい式典になるよう、さらに工夫してまいりたいと存じております。  次に、宿泊、輸送対策についてでありますが、大会期間中、選手、役員などの宿泊数は延べ17万泊が見込まれますので、快適かつ安全な宿泊施設の確保を図り、十分な体調で競技に臨んでいただけるよう努めてまいりますとともに、応援の方々の受け入れにつきましても、関係業界に万全を期していただくようお願いをいたしているところでございます。  さらに、京都市西京極総合運動公園での総合開会式当日の輸送についてでありますが、選手、役員、観客など約3万人の参加が見込まれますので、安全面や交通事情などを考慮して、公共交通機関の利用を基本とし、関係機関へ増便などの協力を要請しているところでありまして、参加者へもこの輸送方法を周知してまいりたいと考えております。  最後に、大会運営経費の節減についてでありますが、議員御指摘のとおり、この大会が高校教育の一環として行われるという原点を踏まえ、府内10万人高校生の力と汗の結集による手づくりの大会を目指しているところでございます。まず、各競技会場は既存の体育施設を効果的に活用することを原則とし、さらに仮設の冷房につきましても、先催県の例にとらわれることなく、高校生の大会であることを踏まえ、競技運営や選手の健康管理上、真に必要な競技のみに限定したいと考えております。また、競技会場の装飾や他府県から参加される方々への接遇につきましても、節度を保つなど、質実な中にも心温まる実りの多い大会となりますよう、市町村や競技団体、そして多くの府民の皆様の御理解と御協力をいただくよう努めてまいりたいと存じておるところでございます。         ─────────────────── 17: ◯議長小林弘明君) 本日の会議はこの程度にとどめ、明12月7日及び明後8日の2日間は日曜日等のため休会とし、12月9日午後1時から本会議を開き、一般質問を続行いたしますので御参集願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後3時58分 散会 発言が指定されていません。 ↑ ページの先頭へ...